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Q8:営業権はどのように計算するのですか。

A8:営業権の算定方法には、直接法と間接法がありますが、M&A実務においては、間接法を駆使することで、売り手に有利な価格交渉が可能となります。

直説法は例えば、営業利益の3年分というように営業権を直接算定する方法です。
間接法(差額法)は、まず企業価値全体を、DCF法やマルティプル法等により算定評価し、その企業価値が、企業の時価純資産額を上回る部分を営業権として考えます。企業価値全体から、時価純資産を差し引いて、差額として間接的に営業権を計算する方法です。
営業権の算定方式としては、直説法が多く採られます。営業利益の2~3年分とか当期利益の数年分といった計算が、シンプルでわかりやすいことが一番の理由でしょう。しかし、営業利益が過去の営業利益からのみ計算され、将来のシナジー効果が反映されないことが多く、通常は、M&Aの売り手には有利ではないといえます。
また、税法上の財産評価基本通達に定められる方法もしばしは採られます。理由は、算定方式が、明確に細かく定められているので依拠しやすいということであり、税理士が関与する案件でしばしば見られます。この方法も直説法の一種です。その会社の経常的な利益が、一定の水準を超える場合に、その超過する利益の5年分を現在価値に割り引くという計算方法です。しかしこの方式も、過去の利益に基づくものである上に、算式上、超過利益および営業権の金額が低くなるように係数が定められているため、M&Aの売り手には有利ではないことが多いといえます。

それに対し間接法は、企業価値全体を、DCF法やマルティプル法等により算定評価し、そこから、企業の時価純資産額を差し引いて、差額として間接的に営業権を計算する方法です。
M&Aにおけるシナジー効果を加味してキャッシュフローを推定し、それに基づいて計算することが出来ます。シナジー効果を具体的に議論し、交渉することが出来るため売り手に有利な価格交渉をすることが出来ます。つまり、「M&Aにおけるシナジー効果を売り手の側にも配分できる」という意味で公平な面があります。

他にも、一部業界、例えば、プロパンガス小売業界においては、小売業者が転廃業する際、顧客1件当たりいくらという計算で営業権を売買し、同業者に得意先を移管する業界慣行が存在しています。1件あたりの金額は、ガスの配管やメータの取り付け費用相当分であったり、1顧客あたりの利益×年数であったりします。
参入規制のある業界でもこのような事例は多く、病院の1病床あたりの年間利益をもとに1病床1000万円×病床数という方式で営業権が計算された時代もありました。しかし、規制緩和時代になり、このように計算されることが少なくなりました。